「かくれ脱水」とは?
脱水症は進行するまで、これといった症状が出にくいのが特徴です。
脱水症になりかけているのに、本人や周囲がそれに気がつかないため、有効な対策が取れていない状態を「かくれ脱水」と呼びます。
この段階で正しい処置を施さないと、重症化して命にかかわることもあるのです。
血液がドロドロになり、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす恐れも…
病院に運ばれる状態まで進んだ脱水脱水症の患者さんは、すでに発症してから数日経っている中度以上で、命の危険を伴うケースが多いのです。
本格的な脱水症になる前の「かくれ脱水」の段階で有効な対策をとらないと、症状は一気に重篤へ陥ります。
高齢者における「かくれ脱水」の定義
身体の水分量は年齢によって変わります。
成人男子で体重の60%、65歳以上の高齢者では水分の貯蔵庫でもある筋肉量の減少などにより、50%程度まで減少します。
通常、成人では、一日に、カラダの水分が1,500~2,500ml程度失われ、同等の水分を飲食によって補給してバランスをとっています。
高齢者は、体の水分量の減少に加え、この飲食による摂取量が少なくなりがちです。
さらに高齢者はのどの渇きを感じにくくなることで、日常生活での水分摂取も遅れがちです。
つまり、高齢者であることは、そのまま脱水症の高リスク者であるということです。
「かくれ脱水」とは、からだの正常な状態と脱水症の間にある「脱水症前段階」のこと。
高齢者の場合、カラダの1%~2%の体液が失われている状態をいいます。2%以上になると脱水症の危険性は一気に高まります。
もともと高齢者のカラダの水分は少ないのですから、すぐに重大な症状に進行すると考えてください。
かくれ脱水チェック
かくれ脱水のサインは、まず粘膜や皮膚に現れる
水分が不足している体は、皮膚や粘膜に乾燥状態が現れやすくなっています。
乾燥して皮膚に艶が無くポロポロと皮膚が落ちるような、常に肌がカサカサと乾燥しているようなら要注意!
口腔内の唾液も不足しがちで、つばを飲み込みにくくなることも特徴です。
便秘は脱水からも起こる
便秘の要因のひとつは、便に含まれる水分が減ってきていること。
水分は飲水やお茶などからだけではなく、食事からも摂取しています。
3度の食事がきちんととれていること、また食事からの水分・電解質の摂取が十分出来ているかも確認しましょう。
皮膚の弾力は、水分にも影響を受けます
手の甲をつまみ上げて離した後につまんだ跡が3秒以上残るようなら、皮膚の弾力性がなくなってきているということです。
皮膚に十分な水分が含まれていれば、つまんだ皮膚はすぐにもとの状態へ戻ります。
むくみは「かくれ脱水」のサインです
靴下のゴムの跡が10分以上も残っているなら「むくんだ状態」
むくみは血管内の水分が減ってきているというサイン。体液のうち、体の機能維持に役立っていない水分が血管外に溜まり、むくみとして出ているのです。
本来、血管内にあって機能維持に役立つ水分が、その分だけ減っている(脱水状態)ということになります。
要注意!「かくれ脱水」が起こりやすい状況
脱水症は熱中症と同じように考えられがちです。炎天下の野外での作業や、激しい運動での脱水症のイメージが強く、気温の上昇する夏だけ注意すればよいと考えてはいませんか?
脱水症はさまざまな状況で起こり、その前触れとなる「かくれ脱水」はいつでもどこでも起こります。
特に注意したいのは
①屋内
②夜間
③運転中
という3つの状況です。
実は、脱水症の多くは屋内で起こります。
特にマンションのように気密性の高い集合住宅では、風通しが悪くなり、かいた汗が蒸発しにくく、体温が下がりにくいため熱中症のリスクが上がるのです。
夜間も熱中症の危険度が高まります。
暑い季節は昼間にコンクリートにこもった熱が夜間に放熱されるため、気温が上がりやすくなります。
それなのに「夜トイレに起きたくないから」と水分摂取を控えると、発汗が増えて脱水症になりやすいのです。
運転中に熱中症になることもあります。
運転に限らず、熱中症には「物事に“熱中”しすぎるとリスクが上がる」という側面があります。
物事に熱中しすぎると水分補給が疎かになりやすいからです。
さらに運転中はトイレに行く回数を減らすために水分を制限しがち。窓を閉め切ると風通しが悪くなって汗が蒸発しにくいため、体温も上がりやすくなります。
最後に梅雨時期にも注意が必要です。
その理由は、この時期は身体がまだ暑さに慣れていないため上手に汗をかくことができず放熱量が低くなる為、体温をうまく調節できないからです。
また熱帯夜が続くと、夜間も体温が高く維持されてしまうため、熱中症が起こりやすくなることが分かっています。
かくれ脱水の予防方法
かくれ脱水を防ぐためには何よりも「こまめな水分補補給」が重要です。
喉が渇いてから水を飲むのでは遅い。と考え、常に水分を手元に置きましょう。
食事からも水分を摂取しているので、食事量もしっかりと摂れると良いです。
起床時、お風呂上り、就寝前にも必ずコップ1~2杯の水を飲むことを習慣にしましょう。
近年、シニア世代の方にもウォーターサーバーの利用者が増えています。
いつも居る場所にウォーターサーバーを置く事で、いつでも水とお湯の両方が使えます。
外出時に水筒を用意するのも手間が少なく大変便利です!
使いやすい位置に置くことで自然と水分補給の回数も増え、かくれ脱水の予防に繋がります。