お薬と上手に付き合う
高齢期は持病の悪化や、様々な病気を持つことが多く、飲むお薬が増える傾向があります。
服用に関して注意すべき事が若いころよりも多くなるという意識が大切です。
特に腎臓の機能は70歳になると、30歳のときの約半分にまで機能が低下するといわれており、副作用等の有害事象も発生しやすくなるのです。
腎臓病(腎炎)
腎臓病は腎臓に生じた炎症によって引き起こされる腎炎(糸球体腎炎と尿細管・間質性腎炎)と、糖尿病などの全身の病気により糸球体に障害を起こすものがあります。
腎臓に与える障害のうち、何らかの原因によって腎臓自体に障害が起こる原因不明のものを原発性(一次性)といい、腎臓以外によって起こるものを続発性(二次性)といいます。
腎臓の働きが低下すると、さまざまな機能に障害が起こります。すなわち、尿による老廃物の排泄能の低下やからだ全体の調節機能低下、腎臓でつくられるホルモン分泌の悪化などです。その結果、たんぱく尿や血尿、脂質異常症(高脂血症)、むくみや倦怠感などの症状があらわれます。
薬は軟水で飲むのが最も安全
一般的なのみ薬は、コップ1 杯(約200cc)の水、または白湯で服用することを前提に作られています。したがって、水なしで飲んだり、少量の水で飲んだりすると、薬が十分に溶けず吸収が低下して効果が発揮できないことがあります。
またカプセル剤の場合は、水なしで飲んでしまうと、喉や食道にくっつき、そこで溶け出したくすりの成分が粘膜を傷めることがあります。こうした事故を防ぐためにも、いつも多めの水でのむ習慣をつけておくことが大切です。
飲み合わせに特に注意!
薬を服用する際、一部の薬で、硬水の中のカルシウムやマグネシウムと作用を起こし、吸収が悪くなるものもあるため、薬の服用には軟水がおすすめです。
ミネラル(カルシウム、マグネシウムなど)を多く含む硬水と一部の抗生物質を一緒に服用すると、薬の成分がミネラルと結合してしまい、効果が弱まることがあります。
代表的なものは、テトラサイクリン系(ミノマイシン)、ニューキノロン系(ジェニナック、クラビット)、セフェム系(セフジニカル、セフゾン)
これらは風邪でも処方される一般的な抗生物質ですので、薬は軟水で飲むのが望ましいです。
腎臓病や糖尿病腎症、透析が必要な方など、腎機能が低下している方は硬水を飲むとカルシウム分を濾過出来ないため腎臓に負担をかけるので普段から硬水は控えましょう。
冒頭でもお伝えした通り、シニア期は全般的に腎機能が低下します。よって「薬を飲む時は軟水」と覚えておくと安心です。
硬水のミネラル分が腎臓に負担をかけてしまうことがあるのはお分かりいただけたと思います。
では、逆に硬水が原因で腎臓病になることはあるのでしょうか?答えはNOです。硬水に含まれたミネラル分は、腎臓病の直接の原因になるほどではありません。
腎臓病を持っている人は避けた方が望ましいでしょうが、
健康な方であれば、硬水が原因で腎臓病になるという心配は必要ないでしょう。
常備薬の服用が無い方は軟水・硬水に神経質にならなくても良いでしょう。
十分な水分補給で副作用が起こりにくくなる?!
薬の殆どは肝臓と腎臓のどちらか、または両方の働きで尿や汗として、体外へ排出されます。
しかし、加齢により、肝臓・腎臓の機能が低下することにより、お薬は体内に留まる時間が長くなります。よって、副作用が起こりやすくなるのです。
腎臓機能は40歳前後からゆるやかに低下し始め、70歳になると30歳の半分程度にまで低下するといわれています。
そして、シニア期に副作用が起こりやすい理由の一つとして体内の水分量が減少することも挙げられます。
高齢期はのどの渇きを感じにくくなることやトイレを意識して水分を控える等、水分量が減少する要因が多くあります。
しかし、水分補給を常に意識することは大変です。
水分補給を”意識する”ではなく習慣にする事で、薬の副作用を起こさない身体づくりを心掛けていきましょう。
まとめ
上手に薬を飲む事で、薬の効能を十分に得ることができます。
そして、日頃から水分補給をすることで、薬による副作用を起こしにくくすることができます。
- 薬を飲む時は軟水で飲む
- 薬を服用する時にコップ1杯で飲んでいるのであれば、コップ2杯にする
- 起床時、お風呂上りに必ず水分摂取をする
- いつでもお水を飲める環境にする(ウォーターサーバー等)